2024/08/07 19:21

当店の名物の「もなかマシュマロ」。

他にはない珍しいスイーツということで、多くのお客様に手土産や引き菓子としてご利用いただいています。
開発にあたっては、オーナーシェフの鈴木が試行錯誤を繰り返し、長い開発期間をかけて生み出しました。

このブログでは、もなかマシュマロ開発までのストーリーをご紹介します。


パティスリー ドゥ ボンヌ オーギュルの意味は「縁起の良いパティスリー」。

 
神社に囲まれた湯島の地で 私たちならではの唯一無二のスイーツを作りたい。
一念発起し出発したスイーツ開発の旅は古都金沢から始まりました。

湯島で愛されるパティスリーを目指して

ご縁あり湯島天満宮のお膝元湯島で店舗を出せると決まった後、オーナーシェフ鈴木はすぐに名物スイーツの開発をスタートしました。

東北の「ゆべし」のように、広島の「もみじまんじゅう」のように多くの人に愛される名物スイーツをつくりたい。名物ができることで多くの人に支持され愛されるパティスリーになっていくはず。

東京でオンラインショップの運営をしながら新商品の開発を模索していましたが、一向に具体的なイメージは浮かばず、雑多な日常から一旦離れて、開発に没頭するため
東京を離れることに。

商品開発のヒントを得られる場所へ行こう。

勢いのあるパティスリー やカフェがある街、神社や寺が多く伝統が息づき和菓子からもヒントが得られる街が良い。

そんな思いで一泊二日の弾丸で、石川県金沢市へ向かいました。

「らしさ」を感じるスイーツ


金沢は街全体にストーリーがあり、街の雰囲気を楽しめるスイーツや土産物が多く、どこを訪ねても金沢「らしさ」を体感することができました。

賑わっているお店は商品の個性がきちんと表現されていて、金沢の特産品を売りにしているところや、アートを取り入れた商品、パッケージデザインにストーリーを入れたものなど、強い商品力を肌で感じ、私たちが目指すスイーツにも「私たちらしさ」をきちんと盛り込みたいと思いました。

兼六園や金沢城、21世紀美術館、茶屋街など観光地をめぐり、場所ごとに土産物屋を見てまわり、カフェや和菓子店、洋菓子店を訪ね、中でも金沢は「もなか」を使った商品がとても多く、形や色も様々でバリエーションの豊富さに驚きました。

もなかって面白いかも。

湯島の雰囲気にも馴染みやすく、昔ながらの菓子は下町でも受け入れられやすいはず。

付き合いのある卸問屋にもなかの取り扱いについて聞いてみると、取引のあるもなかメーカーが1軒あるとのこと。

しかも金沢が拠点のもなかメーカーと取引をしているというのです。

すぐにそのもなかメーカーの名前と連絡先を聞き、電話をかけてみました。

ありがたいことに、メーカーの方はとても親身に話を聞いてくださり、突然連絡したにもかかわらず工場を見学させてくれるというのです。

喜び勇んで金沢駅からほど近い加賀種食品工業株式会社様へ向かいました。

もなかとの出会い

加賀種食品工業様の応接間には、もなかの皮がずらりと並べられていました。

形も丸や四角だけでなくキューブになったものやスカイツリーの形をしたもの、招き猫やキャラクターものまでありました。色も茶色だけでなく、カラフルで目が覚めるほどにキレイな赤、青、緑、黄色、紫、様々な色のもなかが勢揃いしているのです。

想像していた「もなか」とは全く違う、これも?これももなか?と驚きがある製品がそれこそ何百と飾られていて、驚きを通り越して感激してしまいました。

製造工場ではたくさんの従業員の方がひとつひとつ、手仕事でもなかを作っているのを見学させていただきました。

機械仕事かと思っていましたが全部人の手で作っていて、製品にかける強いこだわりを感じました。

この出会いでもう心は決まりました。

「うちの名物スイーツはもなかにしよう」

試作と思索の日々

もなかスイーツを作るという大きな方向性は決まりました。

東京に戻りすぐに試作がスタートです。

「小豆あんのもなか」では当店らしさは出ませんし、湯島付近は素晴らしい和菓子店が軒を連ねていますので、小豆あんのもなかを求める多くのお客様は老舗銘店のもなかを選ばれます。

洋菓子店の当店だからこそできることを模索しました。

洋菓子といえばバターやクリームを使ったものが多いのですが、残念ながらもなか皮が水や油に弱く相性は良くありません。

当初はもなかの中身がショートケーキだったら、モンブランだったら、など様々なアイディアが浮かびましたがどれも実現性に欠けました。

飴でコーティングも検討しましたが、もなかの個性を生かせないような商品にはしたくありませんでした。

もなかの香ばしい風味とぱりっとした食感、どんな食材とも合わせやすい優しい味わいを生かした商品にしたかったのです。

それが一つ一つ手作業でもなかを作ってくださる加賀種の製造職人の方への礼儀とも思っていました。

もなかの中身を別添えにして、食べる直前に入れてもらう食べ方であればバターやクリームでも合わせられますが、もっと気軽に参拝途中の食べ歩きのお供として手に取ってもらいたい。それこそ「もみじまんじゅう」くらいの手軽さで。

どんな食材とも合わせやすいからこそ、バリエーションが加えられた方が面白い。

オーナーシェフ鈴木の頭の中で、様々な素材がぐるぐるとめぐっていました。

水分、油分が多い食材は消去、バリエーションが増やせそうな素材は足していく。

引き算と足し算を繰り返し、気がつくと2ヶ月もの間試作を繰り返していました。

湯島からお届けする名物スイーツの誕生



2ヶ月の製作期間を経て、私たちの名物スイーツがようやく完成しました。

もなかの中に入れたのはマシュマロとフルーツのソース。

マシュマロはゼラチンを入れて作りますが、ゼラチンで水分量を調整しますので、もなか皮の風味や食感を損なうことなく合わせることができました。

またマシュマロは味のバリエーションもつけやすく、甘さも調整しやすいです。

もなかの素朴な味わいを生かしつつも、洋菓子の要素を楽しんでもらうのにマシュマロが最高に良い素材だったのです。

マシュマロの中央にはフルーツソースを入れました。マシュマロだけだとフラットな味になりがちですが、フルーツソースが入ることでフレッシュな甘みと酸味が加わり、味にメリハリを出すことができます。

味のバリエーションは6種類。

ラズベリー、カシス、キウイ、塩レモン、パッションフルーツ、ブラッドオレンジ。

もなかの形は縁起物の「梅」で決定です。

湯島天満宮に梅園があることもそうですが、湯島のエリアは梅をロゴにしている会社や施設が多くあり、当店のロゴも梅のモチーフです。

梅以外の選択肢は考えられませんでした。

色はフルーツの味に合わせて6色。並べてみるとカラフルでとても可愛いです。

私たちの名物スイーツ「もなかマシュマロ」の誕生です。